【感染経路】HIV(エイズ)はどうやったらうつるの?

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ひところに比べると、「エイズ」という言葉を聞くことが少なくなったように感じますが、感染者が減っているわけではありません。今回は、エイズウイルス(HIV)に感染するメカニズムについて紹介します。

今さらですがエイズとは?

エイズは、HIV(エイズウイルス=ヒト免疫不全ウイルス)がうつり、免疫力が低下していろいろな病気にかかる事をいいます。ウイルス自体が何か悪さをするわけではなく、ヒトの免疫力を低下させる働きをします。

HIVに感染すると、しばらくは何も症状はありませんが、数年から10年くらいの間に細菌やウイルスに感染して、いろいろな病気にかかります。

この状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)といい、かかる病気は23種類が指定されています。この23種類の病気を発症すると、エイズだと診断されます。

一時は治療法も確立せず死亡率の高い病気として恐れられましたが、近年治療薬が増えて発症が抑えられるようになり、死亡する人は減ってきました。

HIVの新規感染者・発症者数は国内ではここ数年1,500人前後で推移していますが、死亡者数が減っているので、感染者全体では増え続けています。一度かかったら一生治らない、怖い病気であることは以前とかわりません。

エイズウイルスがうつるしくみはどんなもの?

HIVは血液や精液、膣の分泌液、母乳などに多く存在しています。他の体液の汗、涙、唾液、尿、便にも多少は含まれますが、他人に感染させるほどの量ではないのでこれらを介してうつることはありません。

HIVを多く含んだ体液が付着してウイルスがうつる先は、相手の粘膜部分か、傷口に限られます。健康な皮膚にはバリア機能があるので、HIVが付着しても体内に入ることはできません。

粘膜は口の中、のど、亀頭、尿道、膣、直腸などにあり、ここにはバリア機能がないのでHIVに感染しやすくなります。

このようにHIVが感染する場面というのは、ウイルスを多くふくんだ体液が、相手の粘膜か傷口にふれることに限られます。他の感染症のように、目に見えないところで感染してしまうようなことはありません。

感染経路はセックスだけ?

HIVはセックスすることでうつるというのが、一般的な認識です。確かにそれが一番多い原因になりますが、他にも血液からの感染や母子間の感染の可能性もあります。それらの経路を詳しく見てゆきます。

性行為による感染

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感染は、セックス、アナルセックス、オーラルセックスといった性行為すべてで起こります。また、性器以外の性行為、口や舌が接触するフェラチオやクンニリングスでもうつる可能性があります。

性行為で起こる感染は、すべての感染の中の8割を占めています。このうち男性と女性の異性間の性行為が2割、あとの8割は同性間の性行為による感染で、同性間の性行為が圧倒的に多くなっています。

この傾向の理由としてコンド-ムの存在があります。男女間の性行為では妊娠がからむので、多くはコンドームを使います。同性間だと妊娠の問題がないので、積極的に使いたがらないことがあり、HIV感染の一要因と考えられます。

セックスでうつる

女性から男性への感染では、膣分泌液から男性のペニス、尿道の粘膜へうつります。月経時に出た血液にもHIVがたくさんあって、これにペニスが触れると移ります。

男性から女性へは精液によって膣粘膜へうつります。膣の粘膜は面積が広く、感染の可能性が大きくなります。また、女性が同じ性感染症のクラミジアに感染していると、粘膜に炎症があるのでHIVがうつりやすくなります。

セックス時、射精より前に透明な「先走り液」が出ます。それには精液といっしょにHIVが含まれているので、膣外に射精したとしてもうつる可能性があります。

アナルセックスでうつる

ペニスを肛門に入れる側では、相手の肛門付近や直腸に出血があると、それがペニスや尿道について感染します。

ペニスを入れられる側では、相手の精液から直腸粘膜へうつる可能性があります。膣同様面積が広いので、感染の可能性が大きくなります。直後に大便をすると、感染の可能性が少なくなるといわれます。

直腸や肛門付近は傷がつきやすく、痔があったりして出血しやすい部分なので、特に注意が必要になります。

フェラチオでうつる

ペニスを口や舌を使って刺激するとき、口の中に射精すると精液から口の粘膜に感染します。先走り液にも精液が含まれていて、うつる可能性があります。すぐ吐き出したりうがいをすれば感染の可能性は少なくなります。

ペニスを刺激される側では、唾液にはHIVが少なく、感染の心配はありません。ただし相手の口の中に出血があれば、うつる可能性が出てきます。

クンニリングス・リミングでうつる

膣分泌液から、相手の口や舌の粘膜にうつる可能性があります。また生理時の血液が膣周辺に残っていると、これがHIVを多く含むのでうつる可能性があります。

肛門を刺激するリミングでは、肛門の出血、周囲に膣分泌液・精液がついていなければ感染する恐れはありません。

キスや手でうつる?

基本的にうつりません。唾液にはHIVが少なく感染することはありませんが、口の中や唇に出血があれば、血液から感染する可能性が出てきます。

またHIVを含んだ膣分泌液や精液、血液を手で触っただけなら、それでうつる心配はありません。ただしその手で性器や口をさわると、可能性は低いながらもうつる恐れがあります。

血液による感染

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おもに注射器の使い回しが原因です。ウイルスを含む血液がついた注射針で、別に人に注射することでHIVがうつります。普通の医療現場では注射器の使い回しは絶対にありませんが、麻薬・覚せい剤を使う時に回しうちが行われます。

これはあまり多くない例ですが、医療現場での針刺し事故で感染する可能性があります。感染者に使った注射針が、誤って医療関係者に刺さってしまう事故です。この場合はすぐに抗HIV薬を飲むことで感染を防げます。

また、ごくまれな例ですが、献血が原因で感染した例があります。献血された血液に含まれたHIVが輸血された人にうつったものです。

この例では、HIVの検査目的で献血された血液が、チェックをすり抜けて輸血されました。チェックの特性から、100%防ぎきれないウィークポイントです。

献血時の検査でHIV感染が見つけてもらえるとの誤解が招いた結果です。血液センターはHIVの検査はしますが、その結果を献血者に伝えることはしていません。

母子感染

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妊娠中や出産時に母親から胎児へ感染します。産婦人科で妊娠初期に行う検査で、大半の人がHIV検査も受けるので、それで確認できます。もし感染している場合は、母親には治療を始め、適切な処置で赤ちゃんへの感染を防ぎます。

感染した母親が何もしないまま出産すれば、約30%の確率で赤ちゃんにうつります。服薬・帝王切開・人口授乳という対策を取った場合には1%以下に下がります。大部分の赤ちゃんが感染を免れますが、1%以下のリスクが残ります。

また、どちらかがHIVに感染している夫婦でも、発症してない場合は人工授精や体外受精などの方法で、互いに感染させることなく妊娠することができます。ただし赤ちゃんへの感染リスクは少ないながらも残ります。

ふだんの生活での感染はあり?

普通に生活していると、他人とのふれあいは避けられません。同じ場所に他人と一緒にいて、同じものを使ったり他人が使ったものを自分も使うことがご普通に繰り返されます。ウイルスがうつりそうな気がしますね。

具体的に、どんな場合に感染して、どんな場合は大丈夫なのかを例を挙げて見てゆきます。

・蚊は大丈夫?
蚊に刺されたとき、前に吸ったHIV感染者の血が体内に入る量はごくわずかで、感染するだけのHIVは入りません。蚊から病気がうつるのは蚊の体内でウイルスが繁殖するからで、HIVは蚊の体内では増殖できないので感染しません。

・ディープキスでうつる?
唾液の中のHIVはわずかな量なので、それで感染させるためにはバケツ5杯の唾液が必要です。普通のでもディープでも、キスではうつりません。ただし口の中に出血がない場合に限って、です。

・トイレの便座からは?
HIVがついている便座に座って用を足しただけではうつりません。うつるのは、感染者の血や体液がべっとりついていて、そこに自分の粘膜部が直接さわった場合です。こんな状態は現実的ではなく、便座からの感染はありません。

・歯ブラシやひげそりの共用は?
両方とも使っていて出血することがあり、理論的には移る可能性があります。でも他人が使った歯ブラシを洗わないまま使ったり、血の付いたひげそりを自分の粘膜につけることは、わざとやる以外考えられないので、感染はしません。

・ペット経由の感染は?
HIVに感染するのは人間だけです。ペットを介して感染することもありません。猫のHIVもありますが、これも猫の間だけでの感染になります。

・オーラルセックスは大丈夫?
HIVが多い体液と口やのどの粘膜がふれあうので、うつる可能性があります。でも確率は性行為の中では最も低くなります。

・コンドームは完璧?
コンドームは体液と粘膜を物理的に遮断するので、感染を防ぐには最適です。HIVに限らず他の性感染症予防にも有効で、正しく使う限り完全に防げます。普段から正しい使い方を確認しておきましょう。

・挿入しなければうつらない?
挿入せずに触れ合うだけ、たとえば素股ならうつらないと考える人もいます。でも、性行為なら必ず体液と粘膜とが触れ合い、HIVに感染します。他の性感染症でも同様で、挿入しなくても危険には変わりありません。

以上のような例を見ていると、だんだんと感染する、しないのポイントがみえてきましたね。基本的にはHIVが多く含まれる精液、膣分泌液、血液、母乳と、粘膜とが接触して感染が起こります。

この、体液と粘膜の接触ということを頭に置いておけば、たいていの事例はうつる、うつらないの判断ができます。これと、HIVは空気中では不活性で感染も増殖もしないということを併せて知っておけば、余分な心配はせずに済みます。

エイズも早期発見が肝心!

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何の病気にでも共通していることですが、早期発見こそが治療結果をよくする最大の方法です。エイズも同じことで、早く見つければ抗HIV薬で発症が抑えられます。このため昔とちがって発症→死亡への道をたどらずに済みます。

エイズには幸いなことに、早期発見のために大変有効な郵送検査キットがあります。感染が気になる事をした後、気恥ずかしい思いをして病院の窓口へ行かなくても、自宅で信頼性の高い検査ができます。

性病検査STDチェッカーという検査キットで、調べたい性感染症によって24種類があります。HIVの場合、届いたキットに入っている申込書に記入し、自分で血液を採って容器に入れて返送します。

検査結果はネットで確認でき、もし陽性なら病院で治療を受けます。検査所は保健所や病院と同じ登録衛生検査所なので信頼性は十分あります。そして匿名扱いなので秘密は守られます。

この検査は㈱アルバコーポレーションなどの認定事業者で行っています。
[参考サイト:http://www.std-lab.jp/shopping/contact.php]

エイズを防ぐのはむずかしい?

HIVに感染する可能性はけっこう多いようです。日本はエイズ多発地域の近くにあって、そこから来た人は周りにたくさんいます。風俗好きな人はよくおわかりのとおり、感染源は無数にばらまかれています。

でもポイントを抑えておけば、そう恐れることはありません。体液と粘膜の接触を絶てばいいわけで、そのためにはコンドームという強力な手段があります。

我を忘れて突撃しないで、コンドームと少しの冷静さをもって対処すれば、エイズとのかかわりを持たずに済むことでしょう。

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